犬童こどもクリニック

院長 犬童 道治

当院は、小児科専門クリニックとして、2005年10月に開業しました。
くしくも、10月は、竜ケ崎市・牛久市医師会から、牛久市医師会が独立した月と重なります。
1988年に小児科医となり、その間、小児医療は大きく変化いたしました。
様々な病気の治療法が変化しましたが、やはり、小児科医になった当時、子供たちを一番苦しめていたのは小児喘息です。その病気の治療法が大きく変化したことは、自分の中でも大きな驚きです。私が小児科医になった頃、常に小児喘息の子供さんが入院していましたが、現在では、小児喘息児の喘息入院治療を病院に依頼することは1年に3人いるかいないかです。そのぐらい、小児喘息の治療法は大きく変化したのです。喘息発作に至らないような治療法が確立されたのです。

次に、小児医療が大きく変わったのは、ワクチンです。そのワクチンの変化に大きく貢献したのは、ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンです。それらのワクチンが日本でも定期接種として承認され、9割程度の乳児が接種しています。
そのおかげで、細菌性髄膜炎の激減と、乳児の敗血症や細菌性肺炎等も激減しました。これらワクチンが接種される前の小児外来医療においては、乳児が高熱を出した時には、常に上記2疾患は高熱の鑑別疾患に入れる必要がありました。
しかし、上記ワクチンが接種されるようになり、上記2疾患が激減したため、外来での鑑別疾患としては、third choiceぐらいに位置するようになりました。
さらには、ロタワクチンの登場です。このワクチンのおかげで、ロタウイルス感染症の患者さんも激減しております。 

以上のように、小児医療の中でのワクチンは、とても重要な医療行為となりました。
そんな中、日本で遅れているワクチンがあります。ムンプスワクチン(流行性耳下腺炎ワクチンもしくは、おたふくかぜワクチン)です。日本人の小児が、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に罹患した際、1000人あたり1人が難聴になってしまうというデータが、小児科女医さんによって示されました。
流行性耳下腺炎で難聴になる割合は、人種差があったのですが、日本人では1000人に1人という高い割合であることがわかったのです。
それなのに、厚生労働省は、ムンプスワクチン(流行性耳下腺炎ワクチン)の定期接種化(無料化)をいまだに考えていないのです。

そこで、牛久市医師会として、ムンプスワクチンの無料化を牛久市の事業としてお願いしたところ、牛久市長の英断と牛久市の保健行政担当の方々の協力と、低料金でムンプスワクチンを接種してくださることに承諾してくださった医師会の先生方、全ての皆さんの協力により、牛久市のムンプスワクチン2回接種の無料化を実現することができました。
 
牛久市予防接種委員長として、また、小児科医として本当にありがとうございますと感謝申し上げます。

牛久市医師会が独立したことで、行政との協力もしやすくなり、牛久市在住の方々に今後も的確なる医療を提供し続けていけたらと考えております。